思いつき文フリ購入本感想 Cult Trash(桜井夕也)さん『Chrome Exhaust -REIGITION-』

Cult Trash(桜井夕也)さんの 『Chrome Exhaust -REIGITION-』を読んでいたら、そのまま何か書きたくなったので、何となくメモ帳を起動していたので…続けるかわからないけど、突発で感想を。

  • サイバーゴシック/デジタルデカダンスな近未来散文詩を旨とする、桜井夕也氏が自ら「桜井夕也第二章の幕開け」と宣言した新作。とはいえ、キーワードや独自の言語感覚は変わらずです。

世界観を読む風景画のような作品だと感じていますが、それだけに何とも個人的な感想としてしか何も書けないので、もうここからは印象だけ書き付けます。

「GOOD IS DEAD」という語を何度も用いて独自の世界を著されていますが、私には、GODという大物がぶち倒れた大穴というより、むしろ最初からGOD無く、GODなど見えないまま広がってしまった世界というように感じました。「死ぬ」ってことは、つまりそれ以前に生きていたGODが、反して世界からDEADとされてしまう…という事ですし、それは、ものすごく重さがある。けれど桜井さんの作品には、いわば「神亡き世界」ではなく「神無き世界」が広がっているような軽妙さを感じます。

さて、桜井さんの作品を読むと、なぜか「青暗く光った空」の世界が想像されるのです。これは1章「REIGNITION」でも同じです。
しかし舞台を少し変えた2章「Hypnotic Poison」では、徐々に、徐々にですが、そこに赤を足し加えたような「青紫の世界」と言いましょうか。そういう言葉の掛け算から感じる印象の変化があるように思いました。
いや事実「華、陽炎、篝火、夕月、ルージュ、紅桜、落陽、黄昏、愛」と、今までの青い世界観とは違う言葉を沢山目にして、私の脳でも違う色彩で再現されたのでしょう。
神も愛も死んで、原罪すら持てない、のに何かを求め歩く姿は、果たして作品だけの世界なのでしょうか。ともすれば、現実の現代の私たちも、それに陥っている瞬間を持っているのではないでしょうか。*1


変化に踏み込んだ桜井さんを、私は楽しみにしたいと思います。

*1:しかし超個人的に言えば、基督者としてそうでありたくないという反する想いとが戦うのです