淡交テキスト『やきものを知る12のステップ』9

さて、前回の更新よりすっかり日が開いてしまってしまいました。
ほとんど美術館か博物館に行ってきたので、そちらをブログエントリーにした方が良かったのではないかと思いつつ、隙間に少し読んだ本を。

www.tankosha.co.jp

9月号です。
最初の「茶席のやきもの12編」のコーナーですが「火入」という喫煙具にまつわる焼き物です!

えっ、茶会で喫煙具なんて出るのかと、私は初めて知りまして大変驚きました。
とはいえ「最近の茶会で実際に使用されることはさほどありません」「ただ、火入の入った莨盆(たばこぼん)が置かれる場所によって、正客の座る位置を示すという役割を担っています」*1との事だそうです。
形としては、向付や香炉からの転用も多く、あれらのような筒状か四方、六角などの形をとっています。
うーん、いずれにしても使っていたシーンを想像できないです。

歴史の方は、光悦と仁清。やっぱり綺麗ですよね、この時代は。
やきものの紹介は、萩焼。高麗茶碗との繋がりと対比で紹介されています。

インタビューが十三代三輪休雪、もう最もクライマックスな人に聴いてるじゃないですか。アメリカ遊学で体験した、日本にはない巨大な大自然への畏怖に心を寄せ、創作をしているとの事。

「頭の中ではラフなスケッチを描いて臨みますが、いざ土と対峙すると、相手はどんどん変化するわけです。一刀入れたら、すべてが変わる。」
「これはジャズでいうところのセッションであり、即興です。そういう風に構えていないと、土も死に、私も死んでしまいます。」
「ハッとする姿が瞬間的に現れ、私が反応して、土がまた応える。それが面白く、たまらないのです」*2

fusoanmiwagama.com

十代、十一代が完成させた「休雪白」の技法を、個性的すぎるほどの大胆な形で作品としているのですが、ヨセミテにある巨岩から名を取った「エル・キャピタン」シリーズのように、現代的に大自然を表現しようとする挑戦を感じます。
つい先月、web公開された別のインタビュー記事には写真もあるので、ぜひ見てみてください。
www.fujingaho.jp

(「かねひら会」の十代が萩っぽさの上に白が乗っているのから始まり、十二代のかわいさとか、萩の面白さと休雪はまた別腹って気もしてきました)
三輪龍気生 (十二代休雪 / 龍作) | しぶや黒田陶苑

*1:淡交社『やきものを知る12のステップ 9』p.10

*2:全て前掲書 p.45