そんなワケで、浅見光彦のすばらしさについて

昨日書きかけたので。
さて、内田康夫の名シリーズの主人公、浅見ですが。最初の登場は昭和57(1982)年初版の『後鳥羽伝説殺人事件』。古い! 今読むと、さすがにどこか古さを感じずにはいられないのですが…。
しかも、最初から登場して基本的に事件を追うのは刑事さんで、浅見は後半から探偵役で登場ですよ。過去の事件の被害者の兄として、登場だし。しかも、シリーズ化に際して、殺された妹と、名前しか登場しなかった妹が、なかったことに!
あとの説明(愛車がソアラとか)は、はてなキーワードが詳しいです。

高校時代、ひそかにラノベよりも読んでいたのが、司馬遼太郎の小説と、浅見光彦シリーズで。そんくらい構成要素でした。
また経歴が1つのネタで、父・兄ともにエリート官僚。しかし自分は(自称3流の)私大文学部卒で、就職から逃げるように院まで行き、80年代の好景気に乗っかって新聞社の文芸部に入るも、3年くらいで退職し、「金にはなるが経験にならぬ」ライター稼業をしている、とか。こんな設定が生まれたのだから、まさに今の日本の前触れが80年代にはあったんじゃないかと思ってしまいますよ。それに、才能があるのに弱気な設定なところが、すごく理想的じゃないッスか。しかもね、文学ロマンに似た時代物的な歴史モノを書いて食ってるんですよね。学問から遠く離れた読み物歴史。いいねぇ、その生活感がますます素敵だ。

毎回、旅をしてはヒロインが出てきますが、絶対に何も起きません。というか、何も出来ません、か。あんたは寅さんか。そこも魅力。

小説そのものをじっくり読んでると、たとえば兄の威光やらコネがやたら効き過ぎて嘘くさかったりするのですが、エンターテイメントなので、そこら辺はバッサリ無視してください。旅と、歴史と、ヒロインと、そして独身30代で、しかも頭いいし!
どんな小説のヒーローよりも、あんな生き方してぇぇぇぇぇ!!(謎