時貞というと、わたしのROキャラを思い出してしまう(苦笑

島原の乱 (中公新書)

島原の乱 (中公新書)

面白い。詰め込みたいことを新書レベルにまで落とし込むのに苦労して、話の筋がすっきりしなくなった感もなくはないのですが*1、個人的に楽しかったです。
かつて私が切支丹について、ダラダラと感想文もどきを書いたことがあるのですが、そこでは天下人の中世的支配の限界(領国内の支配に対する大名の独立性)と、近世的な封建制度を通した全国支配への道筋が、宗教支配にも及んできたよ…みたいな感じに思ってたんですね。まぁ、戦国時代がターゲットだったので、そこまででよかったんですけど。
で、島原・天草の乱。そこに到る過程において、対切支丹政策を実際に見てみると、まぁ、驚いたよ。だって徳川時代になっても、まして家光の時代ですら、領国ごとに政策の温度差がハッキリしてるようで…豊臣時代から、そこら辺は一進一退だったのかと。
あと、乱での領主側・一揆側と村々の態度も、まさに戦国の村そのもの。
徳川時代の、キリシタンの、苛政に苦しむ領民の、反乱」という、特殊性をもって切り口と考えてしまい、ワケワカンネェと思ってましたが、いや、つたない戦国理解の延長線上そのものとして考えればいいのか、これは。ちょっと感動。「徳政」「一揆」「大名領国」という中世のタームで切った方が理解に易いと思います。もちろん、近世の架け橋を渡ったこっち側の時代背景ではありますけどね。
あと、禁教令で転んだ切支丹が、何故か十数年の時を経て、苛政の中で「立ち帰り」、当初の妥協とはまるで正反対の過激派となっていく姿は、そんなに不思議じゃないと思います。何だろう、リアルに考えて、迫害に屈した人間が更なる苦境の中で、立ち帰りのムーブメント、つまり日本的な状況下でのリバイバルが起きたとしたら…。その立ち帰り経験は、我を忘れる熱狂というか、むしろ転んだ我を憶えているが故の熱狂に火を付ける気がします。Light My Fire(違
反乱は生活の盾、堕落の蜜は毒薬の香り。(謎

*1:結果的に、まるで学生サークルの論文集のようなバックフラッシュ感がしたのですが、書くことがなくて無理矢理詰め込んだ学生とは、おそらく真逆のスタート地点なんでしょう