「2次元至上主義者vs何か」の続き

前回(http://d.hatena.ne.jp/kash06/20090908/1252422120)の日記とはてブのご意見を読み直して。
基本的に言葉には気をつけようと思っていたのですが

どっちがキツイか、なんて考えてもしょうがないのですけど。「『2次元に存在する彼女を愛せる特権』なんて、ホントは無かった!」「俺たちの振る舞いを認めろ、と言ってたのに、本当にそのスタイルが受け入れられた時、自分たちが拠り所にしていた場所が誰でも通り抜け可能な公道になってしまった!」という感じを、好ましく思える人は流石に少ないかと思われます。

の最後の部分「好ましく思える人は流石に少ない」という言い回しは、やはり言い過ぎたかなぁ…という気もしています。

さて、この一言で「今の事態はオタク全般にとって好ましくない」という懐古調の意見に見えすぎてしまったのは失敗だったと認めるところです。ここは、とても微妙な部分なのですが。決して少なくない人数が「脱オタ」という言葉に乗っかって、今まで自分一人じゃ出来なかった身なりの改善を「仲間のみんなで一緒にやれた」という空気感は、ネットというツールが生み出した新しい処世術として、基本的に素晴らしい好例だとは思っています。
何より自分自身が、2ちゃんねる「エロゲネタ&業界」板の「脱ヲタスレ」、「隠れヲタスレ」出身であり、シロクマ先生の汎用適応技術研究の読者であったので、そこら辺を否定することは自分には出来ません*1

ただ、自分はこうやって「みんなで上げ潮に乗っかろう!」という勢いがある頃に乗れてしまった、という感覚が強いのですが、これと前後して毒男板から喪男板が分離した際の騒ぎを横に置いた時、やっぱり一言ではくくれない、色々な人たちがいる事を思わされます。
「ヲタを辞める気はない、むしろヲタを辞めない為に脱ヲタ・隠れヲタをするぞ!」という「積極的にヲタを選択できた人」がいた反面、「自分は別にオタクでもないし、ただダメなんだよね」という毒男板やダメ板に昔からいた人たちや、積極的に喪男板に集まって「モテない」ことをアイデンティティの中心に据えてた人もいたなぁ…という事が1つ。それからもう1つに、自分がモテない事を自虐笑いにしてた人たちから、激しくいつも何かを攻撃している人たちまで、喪男にもグラデーションがありましたよね。

話が遠回りしましたが、やっぱり「脱オタ」「隠れオタ」って「僕は2次元が好きだけど、周りの人はそうではない事」を認めているし、中には現実の異性への憧れをも認めた上で、どうしようもない事として同時に2次元者を愛していたのだと思います。そこで、わざわざ対決をけしかけようとは思っていないハズです。
ところが、それにすら乗れなかった人たちの中でも非常に戦闘的な人たちは「2次元至上主義者」として、2次元者を愛する事の出来る特権者として自己を過剰に守ろうとしすぎていたのでは、と思うのです。というより、そのようにしか振る舞えなかった苦しい人がいた、と思います。

私個人としては「主義者」として振る舞う攻撃性は受け付けられないものの、そのように振る舞わざるを得ない事情を考えると、かなり同情的に見ている部分はあります。そんな彼らが「2次元を愛することが出来る特権者」というアイデンティティを揺るがされるような、つまり「2次元からも3次元からも、ともに愛される」人たちが現れるようになるのを目の当たりにした時、どう思うのかなぁ…と考えると、やはり悲しい話だと思ってしまうのです。

はてなブックマーク - カッコつけるのは、もうヤメだ。ダラダラと生存報告。(仮)
シロクマ先生にMasaoさんという脱オタ先駆者世代から、現状が好ましくなった事をご指摘いただきました。そして確かに、私自身がその恩恵を受けた一人である事も間違い有りません*2。ただ、後続した世代としてさらに自分の後ろを振り返った時、「対決」という形でしか自分を表せない人たちが、今まで以上に苦しい立場に陥っているだろうな、と思った次第です。

ですが、私自身はそれを良し悪し言える立場でもないので、今起こってることを価値判断する言葉を入れることなく、ワケのわからない「懐かしい」という個人的な感想だけを言って取り澄ませておいた感じです。

ちなみに「相手は生身の女の子なんだぞ!」は個人的に最もヒットした、今でも大変に味わい深い言葉です。もちろん文脈的にはネタとして面白いワケではありますが、個人的には、時々そこを切り離して真面目に色々と考えさせられたりもした、良い言葉だと思います。

*1:あまり表立って言うことでは無いのですが、久々に会った人からは良い反応をいただく程度には変化があるようです

*2:とはいえ相変わらず女性とは縁がなく、異性の友達すらいませんが、あれだけ忌み嫌っていた買い物や身なりの事が、今ではわずかな自己満足や小さな楽しみの1つになった事は良かったと思っています